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入院し、手術日の前日。
病院内のスターバックスでコーヒーを飲みながら「右胸をすべて切り落とされるのは嫌だから、逃げようかな」と思った。
女性の体のシンボルといえば、左右の乳房。
この乳房が半分無くなる、というのは女性としての自分のボディーイメージ、私という概念がガタガタに崩れること。
逃げ出してもおかしくないくらいの精神的危機でもあった。
それでも、逃げ出そうとは思わなかったのは、病院内にいる患者さん達の存在。
がんの部位は違えど、ここにいる人達は、皆逃げずに向き合っている。
私だけではない、そう思えると向き合うチカラも沸いてくる。
7年以上経ち、自分の体には見慣れてきたけれど、身体の一部分が無くなったことで姿勢も保ちにくさや、傷のひきつれ感はこれからも消えることはない。
手術の前日が、一番苦しかった。
次回へつづく