押してだめなら引いてみる

押してだめなら引いてみるというのは、古くから言われている大切な法則だ。

カウンセリングでよくある事例として、「家族や他人をどうにかしようと働きかけるが、どうしても動いてくれない、してくれない」という悩み。

どうにかしようと思えば思うほど、相手を押すことしか思い浮かばない。

渦中に巻き込まれていると、押して相手が動かないなら、さらに押すしかないとなり、結果として相手はさらに抵抗してくる、、。この悪循環のなかで、無力感や相手に対する怒りや憎しみが生まれる。

こんなときこそ「押してだめなら引いてみる」の法則。

じつは、人は立ち止まって引いてみるというのが、一番難しいこと。

何かせずにはいられない焦りがあると、あがき続けて結局自分が疲弊してしまう。

そもそも、自分とは違う人間を動かすというのは、至難の業であり、心理学をもってしても他人は動かせないのは鉄則。

そこで、押してだめなら引いてみる。

いままで押してきたのが引くという違うことをすると、意外と相手もそこに反応して一瞬「あれ?」と心に隙が生まれ違う思いが生まれる。

人は押されると引くし、引かれると押したくなる。

この法則は、あらゆる場面で有効なのだ。