人のために何かをするときの落とし穴

人のために何かをするとき。

注意すべき点は「誰の不安を解消するためのものか」です。

心配な家族や同僚、友人のためにと思い、やろうとしていることがあったら、自分の不安を解消するための行動かどうか一度立ち止まってみる必要があります。

そうでないと、それは相手にとって余計なお世話、いわゆるお節介になることがあるからです

対人援助職をしてきて気づいた視点

私は長年、医療の世界で対人援助職をしてきました。

対人援助職は、相手に起こりうる事態を想定して、危険を回避して回復を促進する支援が求められることがあります。

これも大事なのですが、起こりうる事態を想定している段階で「○○したらどうしよう」という自分自身の不安が大きくなることがあります。

すると、相手のためにしている行動が、自分の不安を解消するための行動となることがあり、これは相手にとっては利益になるどころか悪影響を及ぼすことがあります。

悩んでいる人が身近な人であるほど自分の不安を解消しようとする

ホットラインの仕事をしていると、「身近な人が死にたいと言っているどうしたらいいか」という相談がきます。

大事な人が死にたいと言っていて、自分だけに打ち明けられたとしたらどうでしょうか。

責任を感じて、本当に死んでしまったらどうしようと不安になると思います。

打ち明けてきた相手と同じ不安に飲み込まれる恐れがあります。

大抵、話しを聞いてあげることしかできません。

もちろん、話しを聞くのがしんどいときは断っても良いのです。

自分がしんどい時は断ってもいいと伝えると「そんな冷たくして本当に相手が死んだら困る」と言われるときがあります。

これこそが、自分の不安を解消するためだと気づく必要があります。

「自分が原因で相手が死んだら自分が困る」そんな思いが根底にあるのです。

最終的に誰が困るのかの視点を持つ

人のために自分ができることは、本当はごくわずかです。

人のために何かしようとしているとき、自分の不安を解消しようとしていないか一旦立ち止まって考えましょう。