みんなオバケを怖がっている

私達は、100%の現実を見ることは不可能です。

なぜなら、すべての現実を、自分の価値観とか好みとか経験といった「自分フィルター」を通して見ているから。

そして、自分フィルターを通して見た時に湧き上がってくる「妄想オバケ」に対して、私達は不安や怖さを感じるのです。

「○○しそうで辛い」

「○○だったらどうしようと思うとできない」

これは、まだ起きてもいない未来を、頭の中で妄想し怖がっているだけ。その妄想は実際に過去に傷ついた経験に基づいていることもあります。

私も、頭の中の「オバケ」の存在にずっと苦しんできました。想像力が豊かであるデメリットとして「○○しそう」という妄想が広がってしまうのです。

しかも、脳はどんどん妄想を膨らませることができる機能がありますから、その怖さも大きくなっていき、身体症状や生活にも支障をきたすこともあります。

そうなると、手も足もでなくて、そこにとどまる選択をしつづけ、でも本当はやりたいのに、と葛藤に苦しんできました。

これは、現実なのか妄想なのか、自分で再検討できるようにするのが、カウンセリングや心理療法の目的です。

そして、「オバケ」の話に戻る。

例えばオバケ屋敷は、どこで、どんな仕掛けがあって、オバケが出てくるかわからないから怖いですよね。逆に、ここでオバケが出るぞ、と知っていたらどうでしょうか。知っていたら怖くないか、少しは軽減されるかもしれない。

カウンセリングや心理療法で自分を見つめていくと、自分の「オバケが出るパターン」がわかるようになります。何か不安や恐怖を感じている時に、「あ~また、このオバケが出てきたな」とか「あの時の傷がうずいているのか」と自分で気づけるようになるだけでも、そこに飲み込まれることが少なくなり、自分でどうするか選択が少しずつできるようになります。

もちろん、すぐにはできないかもしれません。私は、そうなるまでに数年間かかりました。

少しずつ、「自分の頭の中のお化け屋敷」の構造を読み解いていくことを、不安や怖さで動けなくなっている人におすすめしたい。