もう一生、制服は着ない

よ〜く考えたら、私はずっと制服を着る仕事をしてきた。

歯科衛生士、看護師、保健師、すべて医療の仕事だったのもある。

制服って、憧れの要素もある。コスプレ的な。

着てるだけで、どんな仕事か役割か一目でわかる。着るだけで、仕事モードがスイッチオンされる効果もある。

着ていて、楽しい時もあった。自らの役割を見た目から演出できる。そして、日々の着る服に困らない利点もある。

だが、そんな制服仕事にも飽きてきたのが数年前。

保健師の仕事で着ていた制服は、上はベスト、下はスカートもしくパンツスタイルだった。

私の生き方、私ってなんだろうか。そんな自己探求をはじめると、自分自身を縛り付けていた多くの価値観、信念に気づく。どんどん、その縛りが緩みはじめて気がついた。

「制服が息苦しい」

色も暗い紺色。ベストは胸を締めつけるようで呼吸がしづらい感覚。

仕事自体が嫌いではない。たかが制服ぐらいという考えもあるだろう。だけど、私にとっては着心地が良い気に入った服を纏って過ごすことは何より重要なこと。

上司に提言もしてみた。古くなった制服を買い替えるタイミングに「この際、制服を廃止しませんか」と。

何より、男性は私服のスーツを着ている。なぜ、女性だけ制服なんだろか。そんな違和感もあった。

私の提言に対して、上司の返事は「制服があるほうがいいという人もいる。それに、自由にしたら皆一定のドレスコードが保ちにくい」

「私は一定のものに、括られたくないんだ」

上司の返事を聞いて、私は自分の声を聴いた気がした。

来月を持って、この制服を着る仕事は退職することになった。制服だけが、退職理由ではないけれど、大きなきっかけの一つではあった。

これからは、私は自分が着たい服を着て、したいことをする。ただシンプルに生きる。