家庭や学校、職場など日常生活で人に話しをすると、大抵、励まされるか慰められるか、同意や同情、批判、否定されることが多い。
同意されるのは、一件、心地よい感覚はあるけれど、「じつは私も○○で~」のように相手に話を取られ、自分の話を聴いてもらった感覚は味わえないこともある。
こうして、なんだか、誰も私の気持ちを分かってくれない、そんなモヤモヤを抱えていく。
カウンセリングではその人の真実を受け止める
先日、摂食障害がある女性のカウンセリングをした。
その人は、痩せたい気持ちを家族や周りの人に話しても「太っていない、痩せる必要はない」と否定される日々を送っている。
私は、その女性の痩せたいと思う気持ちの根底にあるものは何か、に注目して話を聴いていた。
どうやら、嫌いな自分を好きになるために思いついたことが痩せることで、
自分を好きになりたいという切なる思いが根底にあった。
カウンセリングの最後に「否定されないで話を聴いてくれたのは初めての体験で嬉しかった」とその女性は言っていた。
私は痩せたいと思う気持ちの訳は理解できるけれど、痩せることに賛成もしていないし否定もしなかった。
その女性が真に願っているものを見つける作業をしただけでも、その女性は受け止めてもらえたと喜んでいたのだ。
否定されず話を聴いてもらえると、自分には価値があると思えるようになる
否定されず、そのままの気持ちを受け止めてもらえる体験は、自分の話は人に聴いてもらえるほどの価値がある、つまり自分には価値があると思えるようになる体験だ。
私自身も、何度もカウンセリング心理療法を受けて、この感覚を味わってきた。
私自身に受け止めてもらえた体験、感覚があるからこそ、カウンセリングの場では人の話を受け止めることができる。
肯定も否定もせず、そのままを一緒に見つめる姿勢、これを私は大切にしたい。