恵まれて育っても寂しい

人間にとって大切な感覚のひとつは「所属感」

集団の中で、私は人の役に立っている、仲間だと思える感覚。

この感覚はかなり強烈に備わっている。

なぜなら、人間は太古の昔から集団の中でしか生きることが出来なかったから。

そして、人がはじめて経験する集団というのが家族。

生まれ育った家族の中で、どう生きてきたかが、その後の生き方を左右する。

私は、ひとりっ子で経済的も恵まれ、世間一般には何ひとつ不自由のない生活をしてきた。

にも関わらず、「何かが足りない、寂しい」と幼いころから感じていた。

それが何故か、ずっと謎だったし、恵まれているのに足りない、寂しいと思う私はダメだと思ってきた。

じつは、私の寂しさの正体はこの「所属感」がなかったから。

家族の中で役に立っている、役割がない、意味がないと思っていたから。

恵まれてきた故に、私は何かを手伝う必要もなく、お金を稼ぐ必要もなかったので、私は居てもいなくても家族の中ではどうでもいい存在だ、なんて思い込んでいた。

実際、家族は私を大切にしてくれたし、子どもらしくいられるように、心配の無いように、負担をかけなかっただけ。

側から見ると「なんて贅沢な!」と批判される内容だと思うけれど、私の真実でもある。

今、仕事で何か頼まれたり、頼られると嬉しいのは幼い頃に欲しくても得られなかった「所属感」を感じることができるからなのだ。

恵まれていても寂しいのカラクリがようやく解けて安心した。